ゼロへの調和/アンダーグラフ

ゼロへの調和(初回限定盤)

ゼロへの調和(初回限定盤)

ゼロへの調和 05'6/15 6位


 04年末から05年にかけてヒットした「ツバサ」でブレイクした彼ら。インディーズ活動、メジャー、通して初のアルバムとなる本作は、彼らが今まで奏でてきた赤裸々な音楽が詰まっているのだろう。hr>

【収録曲】
1.0 2.パーソナルワールド 3.ツバサ 4.アンブレラ 5.白い雨 6.ヌケガラカラダ 7.hana-bira 8.シュノーケル 9.忘却の末、海へ還る 10.四季 11.君の声 12.ハローハロー


【長所】
▲意外とやりおる
 「ツバサ」は確かにいい曲だったが、正直この曲だけを聞いた限りではブレイクはまぐれっぽい感じがした。一発屋として消えるのが実力相応か…と思われたが、本作意外とやりおる。2ndシングル「君の声」はじめ、インディーズ時代の代表曲「hana-bira」や、アルバムのテーマソングとなる「パーソナルワールド」といった曲達がまずまず良く出来ており、悪くない一枚であると思う。
▲聞きやすく、聞きやすい
 アルバム曲で「ツバサ」を超える曲は残念ながらないものの、ツボを押さえたメロディーセンスが光る曲が多く聞きやすい。J−POPをそれなりに聞く人であるならば、そのツボを意識して聞くこともできるだろう。歌詞も非常に特徴的だ。
▲シングル曲の出来がいい
 「ツバサ」「君の声」「hana-bira」の3シングルは別格。聞きやすいを通り越して名曲の域に入る出来であり、万人に対しておすすめできる。特にインディーズシングルの「hana-bira」を聞くと、彼らがブレイクしても何らおかしいことではないということを実感。



【短所】
▼凡作と言えば凡作
 シングル曲の出来は確かにいいものの、アルバム全体としては凡作の域を全然脱し得ない。1曲1曲の出来はそう悪くはないのだが、こう同じようなダラッとした曲が多いとどうしても内容が耳に残らない。それにつられて「ツバサ」のようなシングル曲も、悪い方向に同化しまうような気がする。ラストの「ハローハロー」のような、遊び心溢れる曲がもう少しあれば印象は変わったかもしれない。
▼ダラ声
 声がちょっと…ダル過ぎる。別に下手ではないのだが、ミスチル以上に鼻にかけた声は聞いていてちょっと息苦しさを感じる。「hana-bira」などバラードなら多少光る声というのは認める。しかし、アップテンポでは完全に声負けしてネバネバ感があるのが事実だと思う。鼻にかけてロックを唄うなら、もう少し力強くお願いします。
▼褒めれる部分がない
 シングル曲以外に褒める部分がない。悪くはないのだが、編曲も普通だし、これといって目立つ曲もなければ、面白さを感じる部分も極端に少ない。一言で言ってしまえば退屈。


【おすすめ曲】
11.君の声
 よくここまで思い切ったメロディーを紡いだと思う。彼らの悪い部分の全てを高低差激しく、切なさ溢れるサビのメロディーがふっ飛ばしてる。メロとサビの明暗の使い分けも効果的。
7.hana-bira
 デビュー前の曲ながら、彼らのよさがめいっぱい詰まったバラード。風化が激しそうな目立たない曲なのは確かだが、一回じっくり聞いてみれば、彼らの本質がつかめるだろう。
3.ツバサ
 発売とほぼ同時にレンタルした僕からすればまさかここまで売れると思ってはいなかったが、何のかんの言って結構いい曲だと思ったから借りたわけだ。「こんな曲あったなー」リストには残してもいい曲だと思う。
9.忘却の末、海へ還る。
 アルバム曲から1曲選ぶとすればこの曲か。メロ、サビともに聞きやすく、とにかく流れがよい。忘却の末、海まで還っちゃうという感覚もちょっと面白い。


【総評】 C
 シングル曲の出来がよく、アルバム曲も聞きやすい曲が多いのだが、アルバム全体としてはちょっとネバっこい。加えてこれといった輝きもないので、残念ながら熱烈ファン以外には薦められない作品という評価にせざるを得ない。