倖田來未はなぜ売れたのか〜その2
今聞いてる曲
- アーティスト: BEAT CRUSADERS,ヒダカトオル
- 出版社/メーカー: DefSTAR RECORDS
- 発売日: 2004/10/20
- メディア: CD
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倖田來未はなぜ売れたのか論議第2回。
連載もの論文ですので、先に昨日のを読めば話がつながると思います。
いずれまとめます。
昨日の続き
◆神4段ステップ
普通ミュージシャンが大ブレイクを果たすときは、大ヒットの上に大ヒットを重ね一気にいく。
逆に言えばこれができた人が大ブレイクの定義でもあり、例えばB'zやミスチル、最近で言えばORANGE RANGEがそれに該当する。
ORANGE RANGEを例に説明すると、「上海ハニー」で世間に登場、「ミチシルベ」でヒットとなり、「ロコローション」で大ブレイク、更にその上に「花」という曲を積み重ねた。
ミスチルなら「抱きしめたい」→「CROSS ROAD」→「イノセントワールド」→「Tomorrow never knows」の4段階。
B'zは「太陽のkomachi angel」→「LADY NAVIGATION」→「BLOWIN'」→「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」。
これをどらごんは神4段ステップと呼ぶ。
すなわち大きく4段のステップが踏めたミュージシャンのみがネ申となる権利を持つのだ。
90年代以降のトップミュージシャンの多くが、この4ステップを通り神へと昇りつめた。
これが2段ちょいくらいで止まってしまったミュージシャンは多くがすぐに失速、長続きしない傾向がある。
この法則を当てはめると、倖田來未は「real Emotion」でステップを止めている。
実際今でも彼女最大のヒット曲は「real Emotion」である。
◆神継続の2ステップ
神の法則はもう一つある。
一瞬神になるだけなら神4段ステップだけでよいのだが、その神を後世に語り継がねばたとえ神となっても一日天下。
ここで後世に残る神の条件として挙げられるのが再ヒットである。
ヒットにヒットを積み重ねたとしてもそれをいつまでも続けられるわけがなく、いずれは前作の売上げに届かない曲が出てくるのが当然である。
一度落ち始めるとそこは所詮流行、後は衰退を待つのみ…。
しかしここでただ落ちていくのと、必死で抵抗するのとでは大きな差が出る。
その抵抗を具体的に言えば、最大のヒット曲を輩出してやがて落下速度を速める前に、もう一度ヒット曲を出すことである。
例えばミスチルならば、「Tomorrow never knows」で昇りつめた後、2曲置いて「シーソーゲーム」「名もなき詩」というダブルミリオン曲を輩出した。
B'zなら「愛のままに〜」の後に「LOVE PHANTOM」が大ヒットしている。
これをどらごんは神継続の2ステップと呼んでいる。
そしてこの2ステップを踏んだミュージシャンは、通常息が長く続く。
頂点を極めた後にもう一度トップに返り咲けるミュージシャンのみが、後世にも名を残せるというわけだ。
この法則を当てはめると、倖田來未は「キューティーハニー」のヒットで2ステップ目へ入っている。
実際「real Emotion」と「キューティーハニー」の間の3曲はTOP10入りしていない。
◆4段ステップと継続2ステップの組み合わせ
この2つの法則を両方持っている、4段ステップのみ、2ステップのみ、両方持っていない、の4種でヒットアーティストの命運は分かれる。
(あくまでもヒットアーティスト。陽の目を見ないミュージシャンは対象外)
まず両方持っているミュージシャン、これすなわち時代の神である。
4段階で確実に上昇し、その後も息の長い活動を続ける。
B'z、ミスチル、ZARDを筆頭に、GLAY、ラルク、T.M.R、浜崎、安室、スピッツ、aiko、ELT、Dragon Ashなど、多くの大ヒットアーティストがこれに該当する。
さらにこの2つが揃うと、2ステップ後にも第3、第4、第5の大ヒットを放つことが可能になる。
また長期にわたって一時的に再上昇、または停滞の動きを見せるのも特徴である。
ミスチルなら「終わりなき度」「口笛」が第3波、第4波、「youthful days」「HERO」「四次元」が長期再上昇であった。
B'zも「今夜月の見える丘に」「ultra soul」「OCEAN」が第3波以降、同じく「ultra soul」の時期に3年ほど停滞した。
次に4段ステップのみのミュージシャン、力を蓄えブレイクしたが継続できなかった人である。
ORANGE RANGEを筆頭に、鈴木あみ、島谷ひとみ、椎名林檎、hide、LUNA SEA、175R、PENICILLINなど、活動停止など継続の失敗、または元々力のないミュージシャンに多い傾向だということが分かる。
一時的には非常に盛り上がるものの、続けざまにヒットが出ず急速に忘れ去られるとこれはもう辛い。
一発屋ではないのに一発屋の烙印を押され、そのミュージシャンの格も一気に下げられてしまう。
結婚、出産などで一時的にこのパターンに陥ってしまう人も多い。
椎名林檎がその典型例で、「幸福論」「歌舞伎町の女王」「ここでキスして」「本能」と4段ステップだったが、その後結婚出産で活動停止、一気に消沈してしまった。
現在東京事変として人気を停滞させているが、これを「ギブス」「罪と罰」の時期に行えていれば神継続となったわけだ。
お次は継続ステップのみの人、ブレイク素早く、その後長期にヒットさせる人である。
これはジャニーズ、アイドル、そのソロ、そして宇多田、倉木、Misiaの3陣営、他にもマイラバ、DEEN、WANDS、CHEMISTRY、中島美嘉…、ポルノやSPEED、槇原も始めのステップが短めという点でこれに該当する要素がある。
これは90年代以降多くのヒットアーティストに見られる傾向であり、すなわち一発ドカンと売り出して、あとはそのおこぼれを継続させるという企業的なやり方が強いミュージシャンに多い。
従ってこういったミュージシャンが多く所属するレーベル等には注意が必要である。
しかし最近は宇多田やMisiaのような実力派、HY、モンパチ、Def Tech、Aqua Timezのようなインディーズの出現でそうとも言えなくなってきている。
モーニング娘。、松浦亜弥のように、地道に育て上げるタイプのアイドルが出現したことも大きい。
ジャニーズ、その他のアイドルにこれはない。
またこの種のミュージシャンも第2、第3のヒットが期待できるものの、デビュー時並のヒットを出すことは滅多にない。
最後、このどちらも持たないミュージシャン、すぐにヒットしてすぐに消えてしまう人である。
KAN、SHAZNA、森山直太朗、三木道山、平原綾香、EAST END×YURI、元ちとせ、Hysteric Blueなど、ここに名を列ねるのはことごとく一発屋。
たまにSHAZNAやHysteric Blueなど3発程度放つミュージシャンもいるが、たいていは1年以内のブレイクで終わってしまっている。
こういう人達は何か特別な武器一本で売れてしまった人が多い。
三木道山やEAST END×YURI、SHAZNAなどを見ての通り…。
みんなブレイク後も結構いい曲出してるんだがな。
その3に続く