fo(u)r/CHEMISTRY

fo(u)r

fo(u)r

fo(u)r 05'11/16 2位


 オリジナルアルバムとしては「One×One」以来1年9ヶ月ぶりとなる4thアルバム。その間の数々のヒット曲の他、Crystal Kayとのコラボ「Two As One」もCHEMISTRYバージョンで収録されている。


【収録曲】
1.Here I am 2.キミがいる 3.Two As One 4.nothing 5.Wings of Words 6.伝説の草原 7.涙のあと 8.almost in love 9.Grind For Me 10.Long Long Way 11.believin' 12.Dance With Me 13.for…


【長所】
▲話題曲がすこぶる豊富
 シングル・アルバム共にタイアップ曲、話題曲が多く聞き所には苦労しない。アニメ主題歌の「Wing Of Words」をはじめ、「キミがいる」「almost in love」、そしてCrystal Kayとのコラボで大ヒットした「Two As One」、アルバム曲もGAKU-MCとのコラボ「Dance With Me」、サッカーのテーマソング「伝説の草原」、話題のアメリカンドラマエンディングテーマ「Here I am」と、全体の8割もの曲が何かと動きがあった曲である。大作の匂いを十分感じることができる。
▲内容がとても濃い
 タイアップ曲だらけだからかどうかはわからないが、どの曲一つ取っても手抜きがなく、アルバム全体として内容がとても濃い。全13曲全てに聞き所、曲として伸びやかな特筆すべき箇所があり、さらにCHEMISTRYという国内最高峰のボーカルが覆い被さる。全体の流れも悪くはないのだが、それ以上に各作曲家、作詞家が趣向を凝らしたその一曲一曲に魂を感じる。
▲初期を思い起こす挑戦的なナンバー
 彼らの1stアルバム「The Way We Are」を覚えているだろうか。シングル曲の連続ヒットで『綺麗なリズムナンバーとハモリ』というイメージがつきかけていたのにも関わらず、アルバムでは非常にバラエティーに富んだ内容で皆を驚かせた。本作はその初期のアルバムを思い起こさせる感じがする。挑戦的なアップテンポやロックサウンドに近い曲を多数含みつつ、決め所はしっかりと定番曲で押し通す。安心の中に意外性もある、そんな所も本作のウリとなろう。
▲全体のテーマは「旅」
 ほぼ全曲別々の人が作詞・作曲をしており、それぞれの曲にかなりの個性がある割に、とても統一感のあるアルバムという印象を受ける。それは編曲が整っていることだけでなく、ある一つのテーマが定められたからであろう。そのテーマは恐らく「旅」である。ことあるごとに歌詞に「道」や「場所」という単語が多用され、曲も目的地を目指し遠くを見ているように感じれるものが多い。もしこのアルバムを聞くなら、このことも意識してみて欲しい。



【短所】
▼これ!という曲が決めにくい
 全体として穴はない作品なのだが、どうにもこうにもこれ!と決めてくれる曲が存在しない。どの曲もあと一歩パワーに乏しいというのがやっぱり正直なところだ。こういうところで踏ん張って欲しいシングル曲も、良いことは良いのだが今ひとつパッとしない。
▼弱点の克服ができていない
 前作、前々作でも散々指摘したのだが、彼らの声に流されてしまっている曲がまだ多い。ハモリは素晴らしいのだが、それを完璧に生かしている曲がなかなか登場しない…こんな風潮が続いている限り、名盤といつまでも言うことができない。
▼「Change the World」聞きたかったなぁ。
 「Wing of Words」のc/wに収録されていたエリッククラプトンのカバー曲「Change the World」を、ボーナストラックとしてでよかったので収録しといてくれればうれしかった。この曲こそ、上記の彼らの声を完璧に生かしている曲に他ならなかった。


【おすすめ曲】
12.Dance With Me
 feat.GAKU-MCバージョンとして収録。GAKU-MC、覚えていますか?「DA.YO.NE」のEAST END×YURIのラップだった人。彼らの声とラップは意外と相性が良く、過去にはケツメイシとのコラボも好評だった。もちろんラップだけではなく、「旅」の終着間近を感じさせる伸びやかな透き通るメロディーも絶品。
7.涙のあと
 シングル「Long Long Way」のc/wだった曲。彼らの真骨頂とも言えるR&B風ミディアムナンバーで、高低のハモリがとても気持ちいい。定番メロディーを純粋に楽しめる、アルバムでこそ輝く一曲だろう。
6.伝説の草原
 彼らにとっては少しばかり意外な、エレキギターが響き渡る爽快なアップテンポ。ためらいがちに進むメロ部分がサビで一気に開放され、彼らの声と空中で混ざり合う。本当に走り動きたくなるくらい楽しさに溢れる曲で、サッカーのテーマソングにぴったし。サポーターをイメージしたようなカッコイイだけの曲より、これくらいやんちゃな曲の方がサッカーのテーマソングにはよっぽど似合っていると思う。
8.almost in love
 本作直前にリリースされた最新シングル。非常にスローテンポな曲調、そして美しいリズムメロディーと、彼らの正統なイメージを地で行くストレートな作品。後半になるとさらに高音でハモりまくるのも彼らの十八番だろう。とてもいい曲。


【総評】 
 Cランクをつけた前作や前々作の比ではなく、完璧とは言いたくない作品ではあるが基本的には優作。ただヒット曲に乏しいのも事実なので、どちらかと言えば音楽ファンにおすすめしたい。