音楽は娯楽からだんだん消えてゆく



今聞いてる曲

I Wish

I Wish

▲「ひとりじゃない」などのヒット曲を収録したDEENの2nd。後半のバラード曲の出来が素晴らしすぎる。名盤。




国内CDの売上が05年は前年比12%マイナス、これで7年連続のマイナスらしい。
1兆円市場と言われた日本の音楽市場だったが、今やピークだった98年の半分。
人々は音楽を聞かなくなってしまったのか。


ここでまたCDが売れなくなったのはやれ不正ダウソが悪いとか、やれレコード会社の暴利だとか何千回と繰り返されてきた議論をするつもりはない。
ただ言いたいのは、音楽を楽しむ人は確かに減ったということだ
これはまぎれもない事実だと思う。


CDが売れなくなった理由など、そんなの知ったこっちゃない。
それこそレコード会社が必死に考えてくれればいい。
ただなぜ音楽を意識して聞く人が減ったのかと言われれば、そんなのは決まっている。
皆悠長に音楽を聞く暇はなくなったからである
貴重な休み時間はやることが増え、一昔前よりみんな忙しくなった。
音楽のように楽しさが目で見るよりわかりづらい娯楽まで手をまわす余裕がなくなった、それだけのことのように思える。


つまりこういうことだ。
テレビが登場する以前の世界では映像娯楽というものは存在せず、皆単純に音というもので楽しんでいた。
しかし近代になりスイッチ押せば画面が動き、面白い映画も簡単に見れる時代がやってきた。
同時に飽食の時代が到来、人々は音楽と映像の両方を楽しむことができるようになった。
レコードとテレビは家にいながら楽しめる娯楽の2トップとなったわけだ。
さらに音楽は移動時間に楽しめるカーステレオや携帯音楽プレイヤーの開発によって、映像よりも身近に楽しめる娯楽として人気を高めてゆく。


しかしさらに時代が進み、ゲームやビデオ、ついにはパソコンという娯楽が登場した。
目で楽しむことのできない音楽は次第に求心力が低くなり、ただ流行を引っ張っていくだけの存在へと格を下げてゆく。
移動中にもゲームをしたりテレビを見れるようになり、これまでの特権も徐々になくなってきた。
そしてついに人々の娯楽の対象からはじき出されるようになってしまったのだ。
こうして音楽は映像の配下、BGMとしての役割のみという立場、またはタレントのひとつの武器というレベルにまで成り下がる。
また国も貧しくなり、人々が娯楽に費やせる時間も減ってきた。
貴重な気分転換の娯楽は映像だけで手一杯、音楽など聞いてる暇はない・・・。




近未来までの想定を描いたが、もちろん音楽を聞く人が0になるわけではない。
ただ、音楽を聞く人はこれから確実に減ってゆくだろうと思う。
音楽と映像が共存できる時代は終わったのだ。