そうかな/小田和正

そうかな

そうかな

そうかな 05'6/15 1位


 6年半ぶりのアルバムだった前作「個人主義」からさらに5年ぶりのアルバムとなった本作(ベスト盤やセルフカバーはあり)は、なんと11曲全曲タイアップ付。ちなみに「そうかな」は「相対性理論の彼方」の略らしい。


【収録曲】
1.まっ白 2.静かな場所 3.大好きなきみに 4.僕らの夏 5.Re 6.正義は勝つ 7.たしかなこと 8.僕ら 9.明日 10.風のようにうたが流れていた 11.そして今も


【長所】
▲これぞ万人音楽PERFECTION!
 シングル曲、アルバム曲共に隙がなく、1曲1曲が大いに万人の心に突き刺さる素晴らしい内容に仕上がっている。11曲全曲にタイアップ付きというのも、その曲の完成度から後で着いてきたものの様に感じる。04年のヒット曲「まっ白」が06年トリノオリンピックのイメージソングになったりということからも、相変わらず需要のある音を奏でていると言えるのだろう。
▲人生の先輩だからこそ
 このアルバムの魅力は単なる音の良さだけではない。やはり60歳になる人生の先輩だからこそ、ものすごく説得力がある。この曲をもし若い人が歌ったとしてもただの綺麗すぎる音にしか聞こえないだろうし、ましてや詞なんか、この人でなければここまで胸に響くことはないだろう。60年の積み重ね。恐らくこれがこの人の音楽なのだ。
井上陽水小田和正はほぼ同年齢
 本作は02年に発売されたベストアルバム「自己ベスト」で打ち立てた、日本最年長チャート1位獲得という記録を自ら更新している。徐々に衰えゆく音楽では、こんな支持は得られないのは言うまでもない。自らがこれまで積み立ててきたものに、さらに現代風の新しいものを取り入れてるからこそ元気でいられる。あの名曲「言葉にできない」を昭和の古臭い音楽と感じる人はいない。井上陽水小田和正お2人とも60前ですが、どちらが若々しく見えますか?
▲「自己ベスト」を聞いたなら
 20歳の娘と60歳の父親、どちらもが馴染める現代音楽を見事に奏でている。「自己ベスト」で始めてちゃんと聞いた人も、「ラブストーリーは突然に」世代も、小田和正オフコースのボーカルという世代も、次の一歩である本作を聞いて欲しい。


【短所】
▼流してしまうと迷子になる
 1曲1曲が素晴らしい出来だが、それを均一的に聞いてしまうと人間どうしても粗探しをしてしまう。ハッキリ言って曲のタイプ的に粗などない。探す労力の無駄なのでやめよう。粗探しをし続けそのまま迷子になってしまうと、ちょっと困る。


【総評】 S
 この評価でも特に何も文句は出ない。是非ヘッドフォンで1曲1曲胸に響かせるように聞いて欲しい。11曲全部がシングル曲と思い聞かせなければ迷子になる、という点には注意。