音楽配信本格化



今聞いてる曲

ACT II (初回盤スペシャルジャケット)

ACT II (初回盤スペシャルジャケット)

▲現在のところ彼らの最新オリジナルアルバム。「AMBITIOUS JAPAN!」や「ラブラブマンハッタン」などちょっと前のヒット曲だけでなく、音楽的にもこれまでで最高潮と言える出来。




音楽配信がめざましく成長しているというニュースが流れるようになって久しい。
アメリカなんかに比べると大幅に出遅れてはいるが、やっとこの国でも音楽の情報化が本格的に加速してきたと言えるだろう。
CDというモノを直接購入するのではなく、家にいながらにしてデータという形で購入する、
こういった形式は情報化社会の基本であるゆえ、その流れに音楽が乗ってくれていることは歓迎したい。
とりわけ日本では携帯電話を通しての音楽配信が95%と圧倒しており、手軽さを重視した配信形式となっているようだ。


さて音楽配信は爆発的に広がったが、それによる流行の変化もそろそろ一般的なレベルで分析されるようになってきた。
ヒット曲などはこれまでCD売上のみによって分析されてきたが、もはや音楽配信も無視できない規模。
何しろ05年集計では既にCD売上をDL件数が上回っている
音楽データの老舗オリコンもこの秋からやっとDLチャートを出すことになり、音楽配信はまた新たなヒット曲動向の資料となりそうだ。
例えばAIの「Story」という曲は去年末のヒット曲として知られているが、CD売上35万枚に対し、ダウンロードはなんと300万件を突破している。


前述の通り携帯電話からのダウンロードが一般的な日本では、ダウンロードの種類は大きく分けて2つに分かれる。
1つめはその曲の一部のみのデータ、商品名で言えば携帯電話による「着うた」である。
携帯電話の着信音代わりに歌が流れるという用途で作られるものが一般的で、音楽的に見るのであればこれは試聴に近い要素もある。
それに対するのはもちろん1曲まるごとのダウンロードである。
パソコンによるダウンロードや、携帯電話で言えば「着うたフル」などがこれにあたる。
ただ規模で見れば音楽配信約9割が前者の曲の一部分をダウンロードするものと言われており、若者を中心とした音楽配信の原動力となっているのはやはり携帯電話である。
音楽配信」とか言うとなんかパソコンのインターネットなんかでというイメージになるが、その実態はというと女子高生なんかが使うようなものだったりする。


この試聴のようなダウンロードが音楽市場全体の拡大に繋がっているという見方も強い。
その裏づけとなったのが、05年、7年ぶりに音楽CDの売り上げが前年比プラスになったというデータだ。
B'zの2枚のベストアルバム〜宇多田デビューくらいの期間が最大だったCD売上は、たったの7年で半分近くにまで落ちた。
それがこのような時期に前年比プラスになったというのだから、なるほど効果があったのかもしれない。
携帯電話の音楽配信などちょっとした音楽の楽しみ方が、ニーズにうまく対応したと言えるかもしれない。


ただヒット曲の動向はもう少し落ち着いて考えてみた方がよいかもしれない、と僕は思う。
売上、市場規模、なんかは企業が積極的に分析を進めるが、その目的はもちろん利益追求、ショーバイである。
それに対してヒット曲、いわゆる流行はその分析が全てではない
お金を出したその音楽を買った人の数、というのはもちろん重要なデータの1つではある…
が、ここが今変わろうとしている。


今までお金を出して買うのはCDであった。
それが今はCDかデータかで選べる。
例えばもしすごく流行っていて聞いてみたい曲があったとした時、あなたはどういう形でそれを購入するだろうか。
「着うた」でサビだけ聞いてみるか、まるごとDLするか、それともCDを買うか。
これには様々な見方ができる。
その曲が本当に好きな人はDL、もしくはCDとなるだろうが、その中でもまわりの流行を重視する人はCDを欲しがるだろう。
ジャニーズがいまだにCDを中心とした展開で勝ち組となっているのは、ファン層のこういったCDに対する需要があるからかもしれない。
流行という形で見るならば一部DLも重要だ。
多くの人がちょっと聞いてみたい曲、というのは例えCDが売れなくても流行と言える。
前述のAIなどCD売上の10倍以上のDL数を誇る曲もある、といった例が典型だろう。


つまり言いたいのは、同じ金額を出した人が同じだけその曲を好きなのか、流行に影響するのか、ということである。
上記の例ではDLしてからCDも購入という動き、またレンタルも根強いため、その動向はもっと細かくなる。
今までは金額の大きさでそのメディア露出の大きさも決定する傾向が強かったが、これからはそれがまた別の形に変わる可能性がある。
金の動きというのは同じかもしれないが、流行の流れ方は確実に変わるだろう。
音楽配信市場急成長!という記事だけでなく、ヒット曲の動きの変化も…
流行歌は今そんな最中にいる。