安室奈美恵 Queen of Hip-Pop

Queen of Hip-Pop

Queen of Hip-Pop

Queen of Hip-Pop 2位 05'7/13


小室に別れを告げ、ダークなラップ中心の音楽に転換してから2枚目のアルバム。これまで衰退の一途だった彼女だが、なんとこのアルバムは初登場2位、50万枚を売り上げる大ヒット。新たなファン層を獲得しての見事な上昇だ。

【収録曲】
1.Queen of Hip-Pop 2.WANT ME, WANT ME 3.WoWa 4.I Wanna Show You My Love 5.GIRL TALK 6.Free 7.My Darling 8.Ups & Down 9.I Love You 10.ALL FOR YOU 11.ALARM 12.No

【長所】
▲女王がふっきれて復活
安室奈美恵と言えばこの国で知らない人はいないほどの歌姫。そんなちやほやされてた姫が完全に吹っ切れて完全復活した。長かった小室時代はまさしく小室ソングのみを歌わされてきた彼女で、そこからの転換後しばらくは失敗かと思われた。しかしここに来てその後の努力が完全に認められたと言えるだろう。落ちぶれたシンデレラが這い上がってきた、それだけですごいことだと思う。
▲本格的ダークラップの最高峰
ここまでダークで分かりにくい音楽が日本でヒットするのは珍しい。どちらかと言えば洋楽に近い激しい女性リズムラップが全体にわたって披露されており、曲として、音楽としてのレベルはかなり高い。元々歌もうまいので、TLCなど本場のダークミュージックに引けを取らない出来になっている。
▲極悪な曲が存在しないHip-Pop
こういったダークなリズム音楽になってくると、どうしても多くの人に理解不能な曲が発生する。あまりにも暗くて本格的すぎたり、製作者の世界一色だったり…。しかしこのアルバムの曲はどれもテンポがよく一定のラインを保っている。Hip-Popというだけあって、かなりの配慮がなされているのがよく分かる。

【短所】
▼それでも抵抗がある
Hip-Popという絶妙なラインを突いてきたが、それでもやはり聞きにくい部分がある。基本的にはダークサイドであり、一般受けするようなメロディーラインなどは存在しない曲が多い。つまりはマニア向けのコアな音楽。ドラマ主題歌を好んで聞く人が耐えられる音楽ではない。
▼安室本人が伝わってくる曲が少なめ
イメージ的には安室奈美恵復活!となっているはずだが、曲を1つ1つ開いていくと意外と本人が伝わってこない。曲の多くを同一人物が手がけ、本人作詞の曲もあるものの基本的にはプロデューサーの力が強い1枚に聞こえる。もっと彼女自身が伝わってくる曲が多く欲しかった。
▼ラストにゴミ捨て場設置ですか?
流れ的に仕方ないことかもしれないが、後半のシングル2曲が明らかに浮いている。「ALL FOR YOU」と「ALARM」がそうで、時期的に今のスタンスとは違うことがハッキリしすぎている。先行シングルなので入れるべきなのであろうが、せめてリミックスでも施せばバランスが取れたのではないだろうか?
▼「the SPEED STAR」が入っていない
1つ上の項目に関連するが、時期的な釣り合いを取るならなぜシングル曲「the SPEED STAR」を入れなかったのか。「ALARM」と同じ作曲者の作品ということもあり、もし収録されたなら後半の不自然さを軽減できたと思うのだが。

【総評】 B
女王の復活は大いに評価したいが、いかんせん分かりにくい音楽であることと、本人の薄さが評価にひびく。後半の違和感などは大目に見れば許容の範囲内。